インドネシアでは、
今も人々が恐れる
「サンテッ」
と呼ばれる黒魔術が存在します。
サンテッは、
遠く離れた相手に呪いをかけ、
病気や不幸、
時には
死さえももたらす
と信じられている呪術です。
近代化が進み、
街には高層ビルやショッピングモールが
立ち並ぶインドネシア。
それでも、
村や地方では
「誰かにサンテッをかけられた」
と口にする人は少なくありません。
政治家が選挙に負けた理由を
サンテッのせいにしたり、
農家が家畜の死をサンテッの仕業だ
と信じたりする事例も数多く報じられています。
私自身、
この話を初めて知ったとき
「科学が進んだ現代でも、
ここまで強い呪術信仰が残っているのか」
と驚きました。
そして調べていくうちに、
単なる迷信と切り捨てられない
人間心理の深い部分が見えてきたのです。
今回は、
インドネシアの黒魔術「サンテッ」について、
その正体や儀式、
そして実際に起きた事件まで掘り下げて紹介していきます。
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サンテッとは何か?基本情報
サンテッ(Santet)は、
インドネシアで古くから信じられている
黒魔術のひとつです。
特にジャワ島で有名で、
「遠隔呪術」とも呼ばれます。
サンテッの目的は、
相手に不幸をもたらすこと。
病気にさせる、精神的に追い詰める、
さらには命を奪うと信じられており、
個人的な恨みや復讐のために使われるとされています。
また、
サンテッは単なる脅しではなく、
実際に「かけられた」と感じた人が体調を崩したり、
原因不明の病気になるケースが報じられています。
私自身、最初は
「単なる迷信だろう」と思いましたが、
現地の人々にとってサンテッは
現実に存在する脅威なのだと知り、
考えを改めました。
信じる人の数が多ければ、
それだけ社会に与える影響も大きくなるからです。
サンテッの方法と儀式
サンテッは、
特定の儀式や道具を用いて行われる
と信じられています。
代表的なのは
「人形」や「針」を使った儀式です。
呪術師(ドゥクン)は、
標的となる人物の写真や髪の毛、衣服の一部などを入手し、
それを呪いの媒体として儀式を行います。
人形に針を刺す、血を垂らす、呪文を唱える
といった方法で、
標的に苦痛や病気が訪れると信じられています。
儀式は多くの場合、
夜間に人目を避けて行われます。
また、
依頼人と呪術師は直接会うこともあれば、
秘密裏にやり取りすることもあるそうです。
こうした話を調べていると、
単なる迷信というよりも
「一種の心理攻撃」に近いのではないか
と思えてきます
呪いをかけられたと信じるだけで、
体調が悪化したり、
不安から行動が変化することもあるからです。
実際に報じられたサンテッ事件
サンテッは単なる昔話ではなく、
現代でも事件として報じられることがあります。
たとえば2018年、
東ジャワ州で
「サンテッを使った」と疑われた人々が
暴徒に襲撃される事件が相次ぎました。
村人たちは、
原因不明の病気や事故が続くと
「誰かが呪術を使ったのではないか」と疑い、
容疑者とされた人を集団でリンチする
という痛ましい事態に発展したのです。
この事件では数十人が殺害され、
政府が緊急に介入するほどの社会問題となりました。
また、
地方選挙の際に立候補者が
「ライバル候補からサンテッをかけられた」
と発言した例もあります。
その発言はメディアに大きく取り上げられ、
サンテッがいかに
人々の政治意識にも影響を与えるかを示しました。
私自身、
この事例を知ったとき
「信じる力が人を動かし、現実の暴力や事件につながる」
という事実に戦慄しました。
サンテッは単なる呪いの物語ではなく、
社会を動かす現実の力を持っているのです。
科学では説明できるのか?
サンテッによる病気や不幸は、
本当に超自然的な力のせいなのでしょうか?
医学や心理学の研究者たちは、
別の視点からこの現象を説明しようとしています。
有力なのが「ノセボ効果」です。
これは、悪い暗示を受けたことで
本当に体調が悪くなる心理的現象のこと。
「自分は呪われた」
と信じることでストレスが増し、
免疫が低下し、体が弱っていくのです。
また、
偶然の病気や事故をサンテッのせいだと結びつけてしまう
「確認バイアス」も関係しているとされます。
人は原因不明の出来事に対して説明を求める心理が強く、
その結果
「誰かが呪ったからだ」
という結論に飛びつきやすいのです。
私自身、
科学的な解釈を知っても完全に安心はできませんでした。
なぜなら、
恐怖そのものが
人の行動や心身に確実に影響を与えるからです。
サンテッは科学的には説明できても、
「人を縛る力」として
現実に存在していると言えるでしょう。
私が感じた“サンテッ”の現代性
サンテッは昔話や伝説の中だけの存在ではありません。
現代社会でも、
人々は依然としてその存在を恐れ、
日常生活や政治にまで影響を及ぼしています。
SNSやニュースメディアでは、
サンテッに関する噂や動画が拡散されやすく、
恐怖や不安が一気に広まる時代になりました。
それはまるで、
呪術そのものがインターネットを通じ
増幅されているかのようです。
私自身、
こうした現象を見ていて
「サンテッは現代のデジタル時代にこそ強く生き残っている」
と感じました。
科学や合理性で説明しきれない不安があるからこそ、
人は何かを信じたくなる。
そして、
その信じる力が現実に影響を与えてしまう
これがサンテッの本質なのかもしれません。
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まとめ
インドネシアの黒魔術「サンテッ」は、
単なる昔話ではなく、
現代社会においても生き続ける恐怖の象徴です。
遠隔で人を呪うという発想は
非科学的に聞こえるかもしれませんが、
実際に人々の行動や心理に影響を与え、
時に暴力事件や政治問題にまで発展しています。
科学的に見れば、
サンテッの効果は
ノセボ効果や心理的要因で説明できる部分も多いでしょう。
しかし、
人間の恐怖や信念が現実の行動を変え、
社会全体に影響を及ぼすという点で、
サンテッは
現実に存在する力として無視できない存在です。
私自身、
調べれば調べるほど
「呪術とは人間の心そのものを映す鏡」だと感じました。
恐怖も信念も目に見えませんが、
それが人を動かし、
時に命さえ奪う。
サンテッの話は、
現代を生きる私たちにも
「見えない力とどう向き合うか」
という問いを投げかけているのです。
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参考文献
– [Wikipedia – Santet](https://en.wikipedia.org/wiki/Santet)
– [South China Morning Post – Paranormal perils plague Indonesia’s new capital](https://www.scmp.com/week-asia/lifestyle-culture/article/3274793/paranormal-perils-plague-indonesias-new-capital-nusantara-amid-fears-black-magic)
– [Jakarta Post – Witchcraft and social panic](https://www.thejakartapost.com/news/2018/10/16/witchcraft-and-social-panic.html)
– Kompas、Tempoなど現地ニュース記事(サンテッ関連事件報道)
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